受験準備を子育てに活かす

 受験の準備はペーパーだ!と思ってしまうと、せっかくの準備が日常生活からはとてもかけ離れたところにあるもの、になってしまいます。

たとえば・・・絵に描かれた立方体の積み木の数を数えること。10×10の点に、お手本通り点つなぎをして図形を描くこと。5歳の子どもの日常生活に、これらのことが直接、役立つことにはならないでしょう。

けれど。
受験の準備には、ペーパー学習だけではなく、様々な分野のものがあります。
親以外の大人と、対面で指示をされた作業をする・・・親以外の大人から、たずねられたことを理解し、それに適切な表現を用いて伝えられる・・・同年齢の子どもと一緒に、その時に与えられた課題に相談しながら取り組む・・・指示された動きを、一生懸命に真似る・・・季節の様々な行事や、花や木、野菜や果物を知る・・・目に見えないものを想像したり、絵や言葉で表現する・・・
受験準備をしなければ、4歳、5歳という年齢の子ども達が、こういうことに向かう機会はほとんどなかったのではないでしょうか?
親がまず、このことを知り、この貴重さを認識し、それを日常生活の中にも活かしていってこそ、受験準備に本当の意味が出てきます。

子育ては、日々の地道な、地味な作業です。
多くの親達は、「子育て」というものを、特別のこととして捉え、どこか生活とは独立した難解なもの、と考えているように思います。
しかし、受験準備の名のもとに子ども達が得たもの、たとえば、ペーパー学習から得た新しい知識やぐんと高くなった話を聞く力、話をする力。そして、数に対する認識、季節への興味などなど、これらのすべてを上手に日常の子育てに活かすと、間違いなく、親子の関係は豊かになっていくでしょう。

確かに、受験の準備には「時間」も「経費」もかかりますね。これを「大きな家庭への負担」と感じてしまっては、急に受験準備は色褪せてしまいます。
しかし、実際には、本当の意味での「正しい受験準備」をすれば、子どもには大きな力がついていきます。聞く力、理解する力、話す力、がんばる力、我慢する力・・・そうです、生きていく力、人間力です。
小学校受験準備とは、親の子育てに大きく役立つ、子ども自身が身に付けてくれる「人間力」なんですよ。
「ああ、大変なことに首を突っ込んでしまった・・・」とマイナスの思いを持つのではなく、「ああ、これで子どもが豊かになる!さまざまな力がつくんだな!」とプラスの思いで取り組んでいきましょう。