足りないことを考える

小学校受験をするにあたり、「母親が働いているから不利」ということは、実際には多いとは言えません。21世紀に入り、すでに13年が過ぎました。現代社会は、母親になっても、キャリアを持って働く女性がどんどんと増えてきています。そういう意味では、世間で働くママ達の存在が受け入れられてきたということです。

しかし、やはりご自身では一度じっくりと考えてみてください。
『もし私が仕事を持っていなければ、私は毎日、この子にどんなふうに接していただろう?』
『もし私が働いていなければ、私とこの子は毎日、どんなふうに一日を過ごしているだろう?』

母親でありながら仕事を持っているといことは、一つの現実であって、それを「良い」とか「悪い」とか、そういう次元で語ることはできません。
ただ、もし自分に仕事がなければ、どんな母親として過ごしているのだろうか?どんな子育てをしているだろうか?何を子どもに望み、自分に何を課しているだろうか?
そういうことを考えてみることで、今まで「見えていなかったこと」がたくさん見えてくることと思います。もしかしたら、見えていなかったのではなく、敢えて「見ようとしていなかったこと」を考える時間になるのかもしれません。

たとえば・・・
「もし私が毎日家で一緒にこの子といたとした、きっと月に何度かはクッキーやケーキを焼いてやるだろうなあ・・・」
「もし私に仕事がなければ、毎日散歩がてら駅前のスーパーに行って、この子とおしゃべりをしながら、夕食のお買い物をしただろうなあ・・・」
そんなことをと思ったとしたら、休みの日は家事や雑事に追われるのではなく、時には「その通りのこと」をしてみてください。

その時間は、確実に普段には「ない親子の時間」ですが、それを作ってみると、きっと見えてくること、気づくこと、わかること・・・があるはずです。
そして、もし「ああ、本当はこういう部分が不足してるんだなあ。」「なるほどなあ。こんなふうにすれば、この子はこんな反応をするんだ!」など、あらたに感じることがあれば、これからはその部分に心を向けていきましょう。
「どうせ無理なんだもの」と敢えて見ない、敢えて考えない、ということからは、何も生まれません。
普段は「ない時間」を補う努力をすると、きっと、新しい親子の関係が生まれ、あなた自身も「新しい母親の面」をご自身で感じることがあるでしょう。

ときどき、「私には仕事があるし、そんな悠長な時間はありません。うちの子は、十分にそれを理解しています。できないことは、できないんだもの。」と、きっぱり言い切るお母様にお目にかかります。確かに一理ありますね。
でも、そういうふうにおっしゃるお母様に中には、母親としては何の努力もせず、足りない部分を補おうとすらしない仕事人間、という方もいます。私は、そういう人を観察していると、実際にはご自分のお仕事に誇りを持っているわけでもなく、ただ、何事に対しても努力を怠り、忙しい忙しいと言うだけの毎日・・・雑に子どもを育てている(雑に家事をしている)自分を正当化しているだけ・・・そんな人も少なくはないのです。
男性女性を問わず、週末や祝日は、のんびり、だら~っと過ごし、ストレス解消に当てたい、そう思われるでしょうね。何と言っても、休日は心身を休める貴重な時間ですから。
けれど、子どもの3歳から6歳という時期は、人としての基礎の基礎を築く大切な年月です。そして、その基礎の基礎を築く場は、保育園での幼稚園でもなく、じつは「家庭」なんですね。
だからこそ、受験をチャンスとして、お休みの日には「日頃、不足しているかも?」と思っていることを思いっきりしてみましょう!それを面倒だなあ、イヤだなあ、と思うとしたら?
あなたの子どもは、自分勝手な時にだけ可愛がりたいと思う「ペット」でしょうか?いえいえ、ペットだって、お世話をしないと病気になったりしますよね。

正しい知識を持ち、真っ当な姿勢で小学校受験に取り組むことは、とても有意義な時間になります。こうして準備を進めていけば、きっと、母親としてのご自身の意外な面に気づいたり、わが子の知らなかった姿などを知る・・など、新しい親子の発見の期間となるはずです。
足りないと思うこと、欠けていると思うこと、それがあれば、愛情を持って補い、笑顔で接してあげる・・・それが、ママの愛情、ですよね。
ぜひ、素敵な時間をお過ごしください!